多店舗サロンの共通経費をどう配分するか|店舗利益を正しく比較する方法
「売上の高い店舗が、本当に一番利益を出しているのか分からない」
「広告費や本部費用をどの店舗に配分すればよいか決められない」
多店舗サロンでは、売上や来店数は店舗ごとに集計できても、経費の扱いがそろっていないために利益比較が難しくなることがあります。店舗に直接ひもづく家賃や人件費もあれば、複数店舗に関係する広告費やシステム費用もあるためです。
共通経費をすべて本部に残すと、店舗の利益が実態より大きく見えることがあります。反対に、一つの店舗へまとめて計上すると、その店舗だけ利益が低く見えます。
この記事では、共通経費を直接費と分け、店舗比較に使える形へ整理する方法を解説します。重要なのは、唯一の正解を決めることではなく、目的に合ったルールを決めて毎月同じ条件で使うことです。
売上だけで店舗の優劣を決める危険性
店舗Aの売上が店舗Bより高くても、営業時間、スタッフ数、家賃、広告費が同じとは限りません。売上規模だけで順位を決めると、費用が多くかかっている店舗や、少ない人数で効率よく利益を出している店舗を正しく評価できません。
たとえば、駅前店舗は売上が高い一方で家賃も高く、郊外店舗は売上が小さくても人件費や家賃が抑えられているかもしれません。売上だけで見ると駅前店舗が優れているように見えますが、利益率や一人あたり利益では結果が変わる可能性があります。
比較する前に、どの経費を店舗へ反映するかを決める必要があります。
まず経費を直接費と共通費に分ける
直接費とは何か
直接費は、特定の店舗やスタッフ、メニューに直接ひもづけられる費用です。
- 店舗ごとの家賃
- 店舗スタッフの人件費
- 店舗で使った材料費
- 店舗単独の広告費
- 店舗設備の修繕費
直接ひもづけられる費用は、該当する店舗へ登録する方が、店舗の利益を理解しやすくなります。
共通費とは何か
共通費は、複数店舗または全社で利用する費用です。
- ブランド全体の広告費
- 本部スタッフの人件費
- 予約・会計システムの利用料
- 全店舗向けの研修費
- 全社で利用する制作費やコンサルティング費
共通費をどこにも配分しないのか、一定のルールで店舗へ配分するのかを決めます。目的が「店舗単体の稼ぐ力」を見ることなのか、「会社全体の費用を負担した後の利益」を見ることなのかで、適した扱いは変わります。
共通経費の配分方法を決める3つの考え方
売上比率で配分する
各店舗の売上割合に応じて共通費を配分する方法です。全店舗の売上に比例して使われる広告やシステム費用には、比較的使いやすい考え方です。
ただし、売上の高い店舗ほど多くの費用を負担するため、売上規模の大きい店舗の利益が小さく見える場合があります。
来店数や利用量で配分する
予約システムの利用件数、来店数、広告経由の予約数など、利用実態に応じて配分する方法です。費用との因果関係が分かりやすい場合に向いています。
たとえば、店舗ごとの予約件数に応じてシステム費用を配分すれば、利用量の多い店舗が多く負担する形になります。
均等に配分する
店舗数で均等に分ける方法です。計算が簡単で、費用の利用量に大きな差がない場合に使いやすい一方、店舗規模や利用実態を反映しにくい点に注意が必要です。
ルールを決めるときに避けたいこと
店舗の都合で毎月ルールを変える
利益をよく見せたい月だけ共通費を本部に残し、厳しく評価したい月だけ店舗へ配分するような運用では、数字の比較が成立しません。ルールは事前に決め、変更する場合は理由と適用開始月を記録します。
支払った月だけに全額計上する
年間契約のシステム費用や複数月にまたがる広告費を支払月へ集中させると、その月の利益が過度に低く見えます。費用が関係する対象期間を確認し、月別に反映する方法を検討します。
目的の違う利益を一つにまとめる
店舗単体の運営力を見る利益と、本部費用を負担した後の会社利益は、別の目的で使います。両方を確認したい場合は、指標を分けて表示し、何を比較しているかを明確にします。
仮例:広告費を配分すると店舗順位が変わったケース
ここでは仮の例として、3店舗で共通の広告を実施したケースを考えます。
広告費を配分しない場合、売上の高い店舗Aが最も利益を出しているように見えました。しかし、売上比率で広告費を配分すると、店舗Aは費用負担も大きく、利益率では店舗Bの方が高いことが分かりました。
この結果から、店舗Aが悪いと判断するわけではありません。広告による集客への貢献が大きい可能性もあるため、広告経由の来店数や客単価も確認します。店舗Bについては、少ない広告費でも利益を出している運営方法を他店舗へ展開できるか検討します。
配分後の順位は評価を決める答えではなく、次に確認する論点を見つける材料です。
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店舗比較では、2種類の利益を使い分ける
多店舗運営では、次のように利益を使い分けると議論が整理しやすくなります。
店舗運営利益
家賃、人件費、材料費など、店舗を運営するための直接費を反映した利益です。店長や店舗が日々の運営で改善できる余地を見るために使います。
共通費配賦後の利益
本部費用や全社広告費なども一定のルールで配分した後の利益です。会社全体として、店舗がどの程度の利益を生み出しているかを見るために使います。
同じ「利益」という言葉でも、含める費用が異なれば意味も変わります。会議では、どちらの利益を使っているかを確認してから店舗を比較します。
SalonBoxで店舗経費を利益分析へ反映する
SalonBoxでは、人件費、家賃、水道光熱費、材料費などの店舗経費を月別または年度単位で登録できます。複数月に関係する費用は、対象期間に応じて按分し、利益分析へ反映できます。
直接費と共通費の扱いをあらかじめ決めておけば、売上だけでなく、費用を含めた店舗利益を比較しやすくなります。店舗ごとの売上、粗利、利益、目標達成率を並べ、どの店舗にどの改善が必要かを確認できます。
重要なのは、ツールに登録する前に配分ルールを決めることです。SalonBoxは、決めたルールに沿って経費を登録し、毎月同じ条件で分析するための基盤として活用できます。
共通経費を運用するためのチェックリスト
- 直接費と共通費を分類している
- 共通費を配分する目的を決めている
- 売上、来店数、利用量、均等など配分基準を決めている
- 適用開始月と変更ルールを記録している
- 年度費用や複数月費用の対象期間を確認している
- 店舗運営利益と共通費配賦後の利益を区別している
- 店舗比較で使う経費の範囲を毎月そろえている
まとめ:共通経費は、正解より同じルールで見ることが重要
多店舗サロンの店舗利益を比較するには、売上だけでなく、店舗にかかる経費を同じ考え方で反映する必要があります。
- 直接費と共通費を分ける
- 共通費の配分基準を決める
- 対象期間をそろえて月別に反映する
- 店舗運営利益と配賦後利益を使い分ける
- ルール変更の理由と適用時期を残す
共通経費の扱いが決まると、店舗間の利益差を感覚で判断せず、どの費用や運営条件を見直すべきかを話しやすくなります。
よくある質問
共通経費は必ず店舗へ配分するべきですか?
目的によって異なります。店舗単体の運営力を見たい場合は直接費だけで確認し、会社全体の利益への貢献を見る場合は共通費を配分します。両方を使う場合は、指標を分けて管理します。
配分ルールは途中で変更できますか?
変更できますが、過去の数字との比較に影響します。変更理由、適用開始月、変更前後の違いを記録し、会議で共有することが重要です。
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